ドイツで鍛える生活 2巻

ここまでのいきさつを読んでいない方は前書きからどうぞ。

             *   *   * 

人は。別なもの。新たなもの。

新たな価値観を日々受け入れないかぎり。

変化がない限り、人としての進化は多分ない。

人生は積み上げていく物のようにみえますが。

固まった価値観や考えを崩して、崩して、

崩す積み重ねなのだ~。

てなわけで。

マユゲのリューベック修行はいかに?

 

1. ああ遠きルーマニア

ドイツに居ながらにして。

ルーマニア人チームに放り込まれ一ヶ月。

相変わらず、会話のネタには困窮しており。

8割方、天気とお国事情の話をしているのだが。

ちょっと小賢しい技を使ったりして仲良くしている。

 

1989年、チャウシェスク政権が倒れるまで

共産圏だったルーマニア。

ルーマニアも他の東欧諸国と同様、まだまだ発展途上の国である。

 

ヨーロッパの貧しい国々にとって。

EUに入る』というのはある種のブランドのようなもので。

『これで私達もヨーロッパ』みたいな格上げ感がある。

そして、2007年。ルーマニアも遂に。

水戸黄門で言うところのその印籠を得た(注)。

(注: 2011年現在、ユーロ通貨の統合などはまだされていない)

 

それを知りつつ。

「ルーマニア人はVISA要るの?」とか言ってみたりすると。

No! I am from EU」と誇らしげに言うので。

『そっか。いいねー。君はヨーロピアンユニオン出身だからねー』

とか言ったりすると、ものすごーく喜ぶわけです。

まあ。自慢話の逆で。

相手の持っているもの、得たものを評価すると、

人は嬉しいわけですね(いやらしい)。

 

ま。脱線したが。

そんなEUネタもしぼみかけていたころ別なチャンス到来。

毎週月曜日はチームランチといって。

一人がチーム全員分のランチを作る。

で。私の番が来た。当然。皆、来週は日本食だー。と大喜び。

 おお。ここはグっと期待に応えなければー!

食い物で心を掴めー!食い物で繋げー!

料理で旦那は家に帰ってくると言うではないか。 

(ま。私に旦那はいませんがーっ)

 

ということで。

万人受けするお好み焼きを作ることに。

ある人にお願いし、

ン百キロ離れたデュッセルドルフから鰹節と青のりを調達し。

3日前からドイツの材料で試作を重ね。

質問にも答えられるようにお好み焼きの起源から歴史、

大阪におけるお好み焼きの店舗数まで調べた。

そうやって私の週末は終わり、本番到来。

 

鰹節が乗っているだけで食えん奴がいる

ソースもいやがったり。

なにもつけずに食べたがったり

もー。完敗。

 

ルーマニアは遠かった

 

こんな雪の中を。小学生のようにマウンテンバイクに乗って通勤している。

もー。35歳のオバハンなのにーっ!何してんだろ。

 

 

 

2. 家探し

初給料をもらった。ガーン。税金40%…

つまり、30万円もらったとしても手取りは18万円。

おそろしやー。福祉国家。

失業者とかに手厚い保護があるのは。

こうやって皆の給料から取っているからなのねー。

 

さて。会社。

同じチームのルーマニア人の英語は相変わらず、すごい。メチャクチャ。

今日は。「ねぇ、Do you know how water outside is?」 と言われた。

一瞬。ン !?と思ったが。

ハハーン!『今日は道路がぬかるんでいてすごいね』

ってことね。とわかった。

あーあ。なんだか。独自言語を習得している…。

その言語に慣れて来たのはいいのだが…。

はあ。なんか想像した外国企業の世界と違うなあ…。

 

さて。洗濯手洗い生活は続いているのだが。

さすがにジーンズなど大きい洗濯物だけはバックパックに詰めて、

遠くて高いコインランドリーまでテクテク歩いていくことにした。

 

しかし、毎回。洗濯物ドロボーの恐怖と戦い、

『あー。よかった。洗濯物、無事であったー』とか。

いらんエキサイティンングな生活もそろそろ辞めたいので。

ここは早く引越しして洗濯機を買おうと家探しを始めた。

(現在の住んでいる家は一時滞在用の物件)

 

インターネットで物件探し。

めぼしい物件を見つけたら、電話してアポを取り、見に行く。

ということを繰り返すのであるが。よくわからんのは。

こちらがすごーいたどたどしいドイツ語で電話しているというのに。

向こうは完全に普通のスピードで、

ドイツ人相手に話すように容赦なくペラペラ話すわけです。

で。私にはどのように聞こえているかというと

 

「ペラペラペラ会社ペラペラペラ~です。」(あ。不動産屋かな)

「他の人ペラペラペラ~。ペラペラペラ~

なので、契約ペラペラペラ~。今週、ペラペラペラ~

としか聞こえていないのだが。この3単語から。

 

ンー。なるほど。

『あの物件に住みたい人が他にもいるから住みたいなら

早く今週中に契約しに来てくれ』

と言っているんだな。と悟るわけです。

語学力で会話しているのでなく。

ほとんど想像力で会話している。 

人間、自分しかいない。頼れない。って思うと。

何かに押され出来たりするもんです。

 

ま。そんなこんなで一件心に決めた物件がある。

ま。いろいろありまして。

契約する日を待ってもらっているのだが。

以前にドイツに住んだことのある経験から。

こちらは日本ほど世の中がまわっていないのを知っている。

なんといいますか。

サービス業とかがあまり信用ならないのだ。

業者が『あー。わかった。わかった。オーケー!』と言っても。

簡単に信用してはならない。

担当者が伝言をちゃんとしていなかったり、

スッポかしたりするのだ。

(電話の工事の人がスッポかしたりね。あり得ないでしょ)

 

というわけで。実際、契約に行ったら。

あー。ごめん。もう他の人と契約しちゃったー。とか。

契約?聞いてないよ。とか。言われたりしてー。と。

もうありとあらゆる可能性を考えているわけです。

 

というのも。どうやら。私は。

『物事は思った通りにはいかないものである』

という思想が根底にあり、ダメだったらどうするか。

という道を考えるクセがある。

 

つまり。事前に考えておくことにより。

ダメだったときの自分のショックを和らげたいわけです。

まあ。ネガティブ思想で自分を守っているのです。

飛行機も乗る度に墜ちるのを想像するのが好きなのよね…。

 

契約日は明日!とうわけで。現在。

契約がダメだった時のことをひたすら考えている。

何が起きるんだろ?

いきなり手が腱鞘炎になってサインできないとかー!?

(もうビョーキ)

 

 

3. ドイツ中産階級的生活

目下の目標、引越。

契約。大いに心配したものの、

とりあえず新居の契約は結んだ。

何事も起こらなければ(まだ言ってる)2週間後に引越。

とはいえ、引越ししたところで。

布団もなければ、電気さえない状態なので住めない。

というわけで。

鍵を受け取ったら週末ごとに物をひたすら買い。

新居に投入せねばらなない。

よって。 物をチマチマ投入し、

2週間くらいかけての引越しになりそうな予感。 

おー。夢の『洗濯機のある生活』はそこまで来ているーっ。

 

しかし。洗濯機の配送がねぇ…。

この国は日本と違い、平日の夜や日曜日の配送なぞない。

だけど、平日の昼間、私は家にいない…。

こんな日本では何の問題にもならないような事も。

一人だと『さて。どうするか…』となるわけです。

 

で。ドイツ人たちは普段、

どうしているかというと。

金を払って配送業者に頼むくらいなら、

自分たちでなんとかする。という手段を取る。

車を持っている人にお願いしたり、

周りの人々と協力して解決できるならば。

配送ごときに金なんて払わんのです。

よって。この国では。

サービス業が一向に発達しないのである。

(必要がない。とも言える)

 

で。私のように。1人ポツンとこの街にいて。

頼める人もいない人は(そんな人少なそうだけど)

どうするかというと。荷物到着日は。

ひたすら待ち、荷物が届いてから会社に行ったりする。

でも。荷物が夕方4時とかに届いたらどうするんでしょうねぇ?

その時間から、会社いけないよねぇ?

 

あー。洗濯機。

配達日が指定できないとかあるのかなあ。

ま。夢の生活のためならばっ。

そんなん何とかします!

 

なぜならば。

今回、私のドイツ生活の目標は。

ブルジョアな生活!なのである。

ブルジョア生活には洗濯機いるでしょー。

 

遡ること数年前のドイツ。

時給600円程度で働き、

暖房がろくにない家に住み、極寒の家の中で、

手袋をし、ニットキャップを被った。

そう。ドイツの下層階級な生活は過去に十分堪能したのだ。

そんな生活に負け、前回は日本に戻ったので。

私にとって今回のドイツ生活はリベンジなわけです。

 

で。その目標ってのが。

中産階級な生活!ブルジョアじゃー!

という、ま。低い目標なのだが

現在。ドイツ人のようにドイツの会社から給料をもらい。

給料の40%も税金を払い。

年金も健康保険もドイツのものに入り。

ドイツのクレジットカードも持ち。

友達が一人もいない、家族がいない、言語障害。

未だに乾電池はどこに捨てるかわからない。

という点を除けば。

ま。普通の中産階級ドイツ市民のように生活している。

(なんか全然フツーに聞こえない

 

しかーし。

ブルジョアはブルジョアで問題が

なんと『料理の臭いがクサイ!アパート中に臭う』と苦情が来た。

鰹節の出汁の匂いの事だと思われのだが

そうなのよねー。

ドイツ人。あんまり料理しないのだ。

特に夜ごはんは作らない。

晩ご飯は、パンとチーズとハムのみの冷たい食事。

夜に温かいものを食べるのを好まない。

 

ドイツ人の旦那を持つ友人は。

毎晩、日本のように晩ご飯を作っていたら。

「お願いだからやめてくれ」と言われたらしい。

「夜は温かいものを食べたくない」と。

 

もう『えーっ!』というかんじ。

人間って同じじゃないのね…。

 

とりあえず、苦情には。

『知らせてくれてありがとう!気をつけるね!』

と。返しておいたが…。

ここで。討論をするように仕組まれているドイツ人の場合。

『それは何時の話か。私のせいだという根拠はどこにあるのか』

と討論に持っていくのであろう。

 

日本人は自己主張しない。と言われるけれども。

やっぱり、人との潤滑な関係を保つために、

不本意であるが自分が折れる、輪を重んじる。

という選択は決して悪いことではないと思うのです。

 

大した問題でもないのに、

いちいち主張するのはちょっとダサイかも…。

というわけで。

最近は窓を前開にし、匂いを外に逃がしつつ、コッソリ料理している。

だって。もうすぐ引越し。夢の洗濯機の生活だしー。

あー。引越が待ち遠しい~!

 

4. 幸福⇔不幸論

私の人生には。

『何でも当たり』という特性がある。

 

つまり。

景品から普通起きないことまで。

まあよう色々、当たるのです。

箱に手を突っ込む景品のクジなんて。

手で掴んだ瞬間。

あ~っ!掴んだ。しまったー。

あー。これ、きっとアタリだ。

という感触すらある。

で。本当にアタリだったりする。

でも。なぜ嬉しくないかというと。

人生において、ずっと幸運ということはないわけで。

くだらん景品とかに幸運を費やしている場合ではないのです。

 

つまり。

幸運とか幸福というのは。

限りある資源のようなもので。

その幸福資源を増やすには。

不運と不幸を経験するしかない。

不運と不幸という行を経験するとで、ご褒美ポイントとして

幸運と幸福資源が増え、貯蓄されるわけで。

あー。人生とは、結局。不幸でも幸福でもない。

とうのが最近の私の持論。

 

そして。

例にもれず今回も『当たり』が来ましたー。

今年のドイツは50年に2、3回の大寒波だと…。

もー。毎日ドカ雪。吹雪だったり。

とかいうのが既に1ヶ月以上も続いている。

気温もマイナス10度を超える日が続く。

 

というわけで。

毎日、マトモに歩けないようなコンディションの中、

雪の上をヨロヨロと自転車で通勤しているのだが。

地面が凍っていたり、雪でぬかるんでいたりするので。

道中半分は自転車を押しているという次第。

日本から3足持ってきた、

お気に入りのロングブーツは2ヶ月でどれもボロボロ。

なんつうか、こう自然がキビシイというか。

毎日自然と戦っているという気がするのですねぇ。

というか。ロングブーツはおしゃれなものでなく。

ここでは。生活必需品なのね。

 

ま。こんだけ寒く自然もキビシイと。

顔もやっぱり険しくなるもんです。

自転車も超真剣に乗らないと雪で転ぶし。

寒いと、ノンベンタラリンとはなりません。

 

私は過去、世界各国の人々を観察し。

人間の性質は太陽が作るんだな。と。

しみじみ思った。

全ては太陽の陽の量と風土が物事を作っている気がします。

ドイツは。言葉の語感も、人の当たりも強い

(↑個人的に知り合うとやさしい人も多いが、アメリカのように愛想笑いとかないので一見、コワイのです)。

ドイツは、お外が寒くてキンキンしているから。

そうなったのだと思っているのだが…。

同じく寒いフィンランドは人がおっとりしているという。

ウーム…。

 

ドイツとフィンランド。違いはなんだ?。

あ。ドイツは水がカチンコチンの硬水。

フィンランドは水が軟水なのよね…。

軟水と硬水で性格に影響があるのか…。なーんんてね笑。

ま。いろんな風土の要素なんかが複雑に折り重なった結果が。

国民性なのかしらね。

 

そういえば。水の話であるが。

ドイツ人は台所のシンクも風呂も使い終わった後に拭きとる。

という話を聞いたことがある。

『まー。なんて神経質で嫌な国民だこと!』と思ったが、理由がわかった。

ドイツの水は硬質で拭き取らないと、

石灰でシンクや皿が白く後が残るのだ。

で、これを1ヶ月くらい放置していると、

ガラス張りのシャワー室も石灰で真っ白になってしまう。

しかも落とすのが大変。

というわけで、毎回拭き取ると掃除が楽なわけです。

私もいつのまにか、毎回、拭き取るようになった。

最初は『シンクなんて濡れるためにあるのに。

拭き取るとか全く意味不明!

ドイツ人とは気が合わん!』って思ったが。

住んでみないとわからないことってあるのねー。

 

ともかく。私は。

毎日自転車を押す代わりに。

お気に入りのブーツがボロボロになっていく代わりに。

幸福資源の貯蓄を増やしている。

と願いたいもんです。

 

あー。そうだ。景品が当たってしまうんだったー。

景品に持っていかれるだけか。ウーン

 

5. 引越し完了

引越し。

と言っても移動先は徒歩で10分のところで。

総荷物は、スーツケース一個。

パックパックにギター。

日本から送った25kgの荷物。

シャンプーなど生活用品と食料。と。

あれ~。わたくしの人生の総荷物、65kg程度ですかぁ

といった感じなのである。

 

あー。なんだか。なーんもない。

あー。このまま。

本当にあの世にでも逝けそうなくらい身軽。

 

私もなーんもないが。

当然、引越先もなーんもないので。

電車に乗り、布団やら電気を買いに。

60km 離れたハンブルグのイケアまで行った。

 

とある駅を降りたら、IKEAが見えた。

その瞬間。

あ~。やっと自分の家ができるのだー。

手洗い地獄からも解放されるのだー。

これからは料理もできるのだー。と。

雪道をザクザクと踏みしめるその一歩が。

IKEAへの一歩が。もー。栄光への一歩となり。

もー。感慨深く。

IKEAの看板がやっと見えたとき。私は泣いた…(←バカ)。

 

たどたどしいドイツ語であちこち電話し、メールし。

わからない契約書を必死で読んだ。水道も電気も通った。

今。やっと。家具を買えるところまで来たのだー。

 

しかーし。

IKEAへ向けズンズン歩く35歳のリュックを背負った女が。

栄光への一歩だ!と涙ぐみながらイケアの看板を見ている姿は。

どこか間違っているので。

やっぱりここは『あの世』なのだと思う。

 

中へ入ると。

どれもこれも一つ必要なため。

電気コーナーでどれにするか迷い。マットレスで悩み。

掛け布団、一個だけ買うならどの厚さか。

と絞るのに迷い。

シーツ、どれもイケていないでも必要だしなー。

と。また迷い。もう。一個一個がそんな調子なので、

なんと5時間も費やした。

5時間もいたわりには出費は260 Euro

ベッドもなくマットレスのみ。

全然ブルジョアじゃないのだが。

ドイツ行きが決まってからというもの、

東京の一人暮らしの家とりあえず実家ドイツでのとりあえずの家と。住居を転々としている身としては。

引越というのは本当にしんどいので。

ドイツ撤退の日のことを考えると。

おそろしくて家具をあまり買いたくないのである。

 

だって。

皆、いつかはどこかへ旅立つのですよ。

本当に逝ってしまうときだけは。

残された人が片付けてくれますが

 

さてと引越。新居は建設年1900年。

当然エレベータはない。

一人で徒歩で10kgずつ運んでいると。6往復。

というわけで。同僚に声をかけたら車で手伝いに来てくれた。

ありがたい!

終了後、お礼にカフェでもということで。

カフェに行きました。

カフェですよー。皆さん、カフェ!

あの世だから。いつも一人で行ってたカフェ。

しかし。

今日は人と一緒ですわー。3人ですわー。

こんな些細なことが。

あの世ではとても感慨深い事なのです。

 

わかるかー! 現世の皆さん!

IKEAの看板で泣け。

人とカフェに行けることで感激する。

これが『あの世』なのです。

 

ま。普通、こんな所。来ないわな…。

 

***以下。結局、ブルジョアより変わり種を選んだ新居****

やっぱりブルジョアになりきれず選んだのはアウトローな感じのへんな屋根裏部屋物件。一階はエロショップ、向かいはPRADAというステキな組み合わせのロケーション。

 

この赤く囲われた屋根裏部分が私の新居。

部屋の中も三角。天井は手を伸ばすとあと10cmで届くかんじ↓

 

上の写真の居間にキッチンが付いている。

 

 

5. 配管と配線と女の価値と

!いよいよ。洗濯機配送日。

いろいろ想像した。

到着しないのではないかとか。

ピンポンが鳴らないのではないか。とか。

サイズを勘違いしていて、

洗濯機置き場に入らなかったりしてーとか。

そして。その審判の日が今日来るのです!

あー。神さま~!

 

そして。ここ1週間、

照明器具も取り付けたいと思っていたのだが。

夜、帰宅すると暗くてケーブルの配線の色がわからん。

という事態で配線できなかったため、

週末に電気配線をして照明器具を取り付けたいと思っていた。

(なんと。この1週間はロウソクと月明かりでしのいでいた!)

 

やはり。ブレーカーは落として配線したい。

しかーし。ブレーカーを落とすと洗濯機の配送が来ても、

ピンポンが聞こえないかも

 

この国。電圧は日本の2倍。

日本でプラスマイナス間違えて、

爆発させたことがある身としては。

配線間違えはもう恐怖

感電死の恐怖と戦いながら。

これで間違えたらー。

ここで死んだらー。

エレキギターで感電死した山田かまちのように。

手記が公開されちゃうかもー。

きゃー。どうしようー。

バコ~ン!髪の毛がチリチリ~ッって

 

いや。でも。

それでも、私はブレーカを落とさん!

だって。洗濯機のピンポンが来る!

2ヶ月の手洗い地獄からの解放。

遠いコインランドリーからの解放。

ブルジョア生活への一歩!

爆発がなんだ。感電がなんだ!

 

それくらい私は洗濯機に懸けていた

 

そして。

ピンポーン!来ましたー。洗濯機!

そして。洗濯機が。

洗濯機置き場に入りましたー!

 

がっ。配送のお兄さん達、

「あー。こりゃダメだねー」

「長さ足りないねー。部品も足りないねー」

配管は今できないから。

あと必要な部品はこれこれだから。

配管はホームセンターで買って自分でやってね。と…。

 

ガーン。想像はいっぱいした。

でもどれでもなかった

どんなに想像しても。どんなに準備しても。

想定外のことしか起きないのか。世の中は

 

明日は日曜日。店は閉まる。

チャンスは今日しかない。

配達のお兄ちゃんに書いてもらった、

必要なホースの名前と部品の名をもって

ホームセンターへ。

 

私『アップシュロイヘとツーシュロイヘください』

(シュロイヘ。ホースの意。つまり、2種類のホースを買わないといけない)

店員『どんなアップシュロイヘとツーシュロイヘ?』

私『洗濯機の』

店員『だからどんなの!』

(ドイツの店員は大概、客に怒るのです…、サービス業という世界が存在しない)

私『 …… 』

 

アップシュロイヘとツーシュロイへ。

両方とも洗濯機に付けるホースなのはわかるが、

どんなものなのか全くわからない。

ただ、それを買えって言われたから~。

そんな調子でホームセンターを行ったり来たりしているうちに。

熱意と気合いでなんとか部品がそろった。

 

見慣れぬ配管と水栓と格闘し、

70kg近くある洗濯機も一人で動かし。

途中ビシャ~ッと噴水のように水が吹き出したりしつつ。

8時間の格闘の末、洗濯機が稼働した。

翌、日曜日は疲れてひたすら寝た。

そして。洗濯機に振り回された私の週末は終わった

 

しかーし。

電気配線に加え。配管さえも出来るようになった女は。

人間としての価値が上がっても。女の価値は下がるわけで。

あー。女とは本当に難しい生き物です。

 

右の端にあるのが格闘した洗濯機。無事設置。管まみれ。

この洗濯機、蓋は上に開くが中でドラムは縦に回転する。

 

感電死の恐怖と戦った電気(笑)。天井になんとなーく取り付け完了