ドイツで鍛える生活 5巻

ここまでのいきさつを読んでいない方は前書きから順にどうぞ。

 

 

1. 超無意味な小旅行

ドイツでは日曜日に店が開かないため。

土曜日は食料品の買いだめをする日。

で。日曜日は皆さん、公園か川。

というのがライフスタイルなのだが。

 

私の場合。

土曜日は皆と同様、食料品買い出し。

しかし日曜日は。

5月とはいえ、まだクソ寒いし(東京の冬くらい)。

一人で公園で優雅に楽しめるほど人間がデキていないので。

引きこもり。

という活動範囲の狭い生活を送っていたのであるが。

これではいかん。と思い、立ち上がった。

 

そうだハンブルグへ行こう!

(熱海から東京くらいの距離と思ってくれ)

ヨガクラスとなんかスタバとかも行きたいかも~)。

(注: お恥ずかしながら。スタバが東京を思い出し安心するツールなのです)

よし。ショッピングもしよう!と。

60km離れたハンブルグへ電車で行った。

 

しかーし。

お目当てのヨガクラスはやっておらず

(ちゃんと調べたのにーっ!)

 

次。スタバ。

リューベックはそういうものがないから

堪能せねばっ!と、スタバに向かう途中。

カラスに襲われ。カラスに頭を蹴られた

別のカラスも襲ってきてまた頭を蹴られた。

周りにドイツ人もいるのに、なぜか私だけを目がけて、

カラスが皆、奇声をあげてカ〜ア。カ〜ア。と。

すさまじい剣幕で言いながら、

一羽ずつ私の頭を目がけて突進してくる。

ヒエ~っ!なぜ私だけなのかー。

小道へ入ったりしてカラスを撒きつつ、

スタバに無事到着。堪能完了。

 

次。郊外のアウトレットに行ってみよう!

ハンブルグからさらに電車で揺られること50分。

ちょこっと電車で揺られるともう田園地帯。

車窓からは牧草しか見えないのですが

牛と馬しかいない。子牛かわいい

しかし。ちゃんと帰れるのだろうか

 

なんか海外の見知らぬ土地に一人でいると。

街にいるときは平常心なのだが。

美しい牧歌的な光景に身を置くと。

その美しいはずの光景が単なる恐怖になるのです。

つまり。

こんな所に来てしまったのはよいが

帰れるのだろうか。電車あるのか

という不安がつきまとい。

身体はキーンとし。心はキュイ~ンとなるのです。

でも。こういう不安と緊張をくぐり抜けることが大切だから。

若者よ。旅をせよ。と言うのだろう。

こういう感覚が。

人の雰囲気となりを作る原料となる気がします。

まあ。

誰も30半ばの女に旅をせよとは言ってないんだけど

 

ま。そんなこんなで。

迷ったり。心がキュイ~ンとなったりしつつ着いたのだが。

そこにアウトレットはなかった

ちゃんと調べたのにーっ!

 

で。ハンブルグへ戻る帰り。

あ。電車来たー。

あれ~。誰も乗らない

あれ~。電車。2両しかない。反対方向なのかな。

と思って足が止まって動けないこと5秒。

電車は去っていったー。

単に。皆は反対方向に行くので乗らなかった模様。

はあ(←バカ)

もー。5秒しか停まってくれないなんてひどい。

風がピューピュー吹く牧草地帯で。

さらに30分も電車を待つこととなった。

 

というわけで。

朝。10時に私の街、リューベックを出て。

夕方18時にヨレヨレになって帰宅。

総交通費 25ユーロ(3200円)の収穫は。

スターバックスに行けたこと。という。

もーなんのこっちゃ。

東京にいたら。そんなもん。

会社の行く途中に行けるもんじゃーっ!

やっぱり。スタバでもショッピングでもなく。

川と公園を目指さないといけないのか

 

というか。

一体、私の調べたものはなんだったのか

今回は。単なるキュイ~ン損であった。

 

2. 桃源郷

子供のころから外国に憧れていた。

制服や運動会の行進がある日本を。

遅れた国と思い、ダサイと思っていた。

 

なもんで。

わりと早い時期から。

自分は日本を出ようと思っていて。

中学校のときにはどうやってビザを取ろうか考えていた。

オーストラリアで。

お好み焼き屋さん開くか。とか。

イギリスで犬の訓練士になろうか。とか。

 

今、振り返ると。なんの一貫性もなく。

かなり頭が悪そうな発想であるが。

まあ。ともかく。

日本を出たかったのである。

 

で。27歳の時。もう後がない!と思って。

日本を出たのだが。

勝手に外国に引っ越ししても。

仕事があるわけでも学校があるわけでもなかった。

社会の底辺でプータローなバイト生活を4年経験し。

もう。どん底の生活はいやだっ!と思い。

海外生活に見切りをつけて日本に戻った。

 

海外で自分にできることなんて何一つなく

あるのは皿洗いレベルの仕事だけだった

 

そんな人が今。

日本人がいない場所で。

日本人がいないドイツの会社で働いている。

これ。考えてみると。

私が12歳から24年かけて辿り着いた夢の場所なのだ。

 

そう。ここは私の桃源郷。

そう。私は桃源郷にいるのだ。

そう。桃源郷のはずなのだー。

おかしーい。桃源郷じゃなーい!

 

で。わかったのだが。結局。

桃源郷とは場所ではないのです。

仕事が出来る人はどこでも出来る。

楽しめる人はどこでも楽しめる。

そこが都会であろうと田舎であろうと。

外国だろうと。日本だろうと。

場所ってあんまり関係ないのです。

 

つまり。桃源郷って。場所ではないのです。

とういわけで。

都会でないと死んでしまうような私でも。

この田舎くさーい街が桃源郷になり得るのだ。

自分の中の桃源郷に辿りつけば

 

そんな意味で。

私の修行の旅は、まだまだつづく

 

あー。私の桃源郷よ。

辿り着くぞー。

 

p.s. しかし。この極寒の国が桃源郷にねぇ。今年の冬の寒さを思い出すと自信半減。

 

3. たかが味覚されど味覚

会社では毎週月曜日がチームランチ。

1人が全員分のランチを作る。

1ヶ月に一度自分の番がまわってくるのだが。

メニューが悩ましい。

 

ルーマニア人の同僚たちは。

慣れていない味は食べられない。

(封鎖的な共産圏時代が長かったので

外国のものが入ってこなかったせいかと…)

カレーとかスパイシーな味もダメ。

魚もダメ。そして今回。

ルッコラのサラダも残していたー。

もー。野菜もダメかお前ら~っ!

 

そういや。

ジャガイモとか。缶詰の野菜とか。

シチューに入っているクタクタに煮込まれた野菜。

なんかは食すのであるが。

それ以外はあまり食べないかも

ウーン。肉だけか

しかし。私はあんまり肉々しいのは好きでないので。

もう皆がハッピーになれるメニューはあり得ないのだ。

 

で。

5人分の買い出しや料理を運ぶのも、もー。問題。

トマトソースを自転車の籠に入れて運搬中。

ソースの入ったボールがひっくり返って大惨事。

エコバック内がソースまみれになり。

道中。バック内に散乱したトマトソースを。

手ですくってボールに戻し。

昼にそれを食わせてしまった(コラっ!)。

なーんてこともあった。

 

大体。もういいオバさんなのに。

40リットルのバックパックが日常的に大活躍する。

というのは一体どういうことか。

あー。本当のブルジョアになりたいっ!

 

で。味の封鎖性の問題であるが。

ドイツ人でも東ドイツ出身の人は味覚が封鎖している。

これは。

社会主義の封鎖性が人類にもたらした味覚の封鎖性じゃー。

と思ったが。おそらく。社会主義でなくとも。

経験がない人は同じことが起きるであろう。

 

先日。友人が。

肉食文化圏の中で魚を食べられる人や、

異国の食べ物を受け付けられる人は。

インテリ層が多い。と。

 

狭い味覚しかない人は。

味覚が狭いだけでなく。

おそらく。

その人生にまつわる世界も狭くなるということだ。

というわけで。子供に味を経験させるのは大事なのですねえ。

(いや。キース・リチャーズがもし偏食だったりしてもよいのですよ。

凡人の場合です)

 

ま。次回は。もう肉料理だな。肉。肉。

肉とじゃがいも料理で塩、こしょう味。

もしくはピザか。

余計なお世話だけど。

なんか。そんな枠の中の人生。つまらん。

 

あ。エラそうなこと言って。

私は納豆が食えなかったー。

何か納豆分の人生を失っているということか。

 

p.s. 全部のルーマニア人が上記とは限りません。

サンプルが少ないのであしからず。

 

4. トラブル体質とガテンと

土曜日。よっしゃー。

引きこもりはいかん。

出だしが肝心。

と朝っぱらからヨガクラスを受けようと。

ハンブルグ(60km先)に行く支度をし着替えていたら。

電車に間に合わなくなってしまった

電車は1時間に1本。また来週か。

……

結局。家でヨガを1時間半。

 

じゃあ。ハンブルグの楽器屋さんに行ってみよう!と。

しかーし。

営業時間が13時から15時。とか。

11時から14時とか。

なんじゃー。そのピンポイントの営業時間はー!?

ドイツの大都市。ハンブルグよ。お前もかー!

乗り越えるべき関門は、電車だけではなかった

 

で。今回のハンブルグ小旅行。

一人でちゃーんと生きられるように。

ちゃーんと下調べして。電車の中でも地図を広げ。

『着いたら地下鉄No.3xx行きに乗って』と。

ちゃーんとシュミレーションもしたのに。

地下鉄No.3xx行きは工事中で封鎖であったー。

……

 

しかーし。良い事もあり。

楽器屋がみつからずウロウロしていると。

イケているフリーマーケット発見。

あー。また遅ればせながらの発見!

とりあえず。寒くて凍えそうだったので。

カシミアのセーターを即買い、即着用(6月なのに)。

さらに。自転車が壊れたので中古自転車もそこで購入。

やっぱり。お外に出るといい事があるようだ。

 

さてと。

自転車を持ってリューベックに帰らねば。

ドイツの電車は。

自転車を持ち込めるのだが、その車両。

自転車持ち込んでいた人の数、10=10台。

車椅子の人。5= 5台。

なんか、もー。

車内が自転車と車いすで埋め尽くされ。

電車の中とは思えぬすごい光景。

で。座る場所がなかったので。

自転車に寄りかかりながらリューベックに帰還。

駅のホームで自転車を担いで階段を上っているとき。

ふと。思った。

 

この光景。私は8年前もこうやって。

いつもベルリンで自転車を担いでいた。

私の生活はいつまでこうガテンなのか

 

もー。ガテンに生きなければならないならば。

男の肉体を与えてほしかった

ちょっとー。神様。君。

私が男だと勘違いしているんじゃないかー?

ま。電気配線から洗濯機の配管まで自分でやるから。

(参照: ドイツで鍛える生活2巻『5.配管と配線と女の価値と』 

神様も勘違いするのか。

しかーし。今日は自転車の籠を付けないと

 

そんなわけで。

私は今日も。ドイツの路上で。

ペンチとドライバーを持つのであった

 

5. 後悔お片づけ人生

人生に『もし』はないと言う。

もし。◯◯だったら

もし。◯◯していれば

でも。所詮。

その『もし』は起きなかったことなのである。

 

しかし。私はその『もし』を一個一個片付けてきた。

なんか、常に後悔のお片付けをしているのだ。

『もし。あの時あーしていれば

じゃあ。今から。ウーやるか。と。

いわば。後悔の実践である。

 

クソーっ。英語が話せていたらー。

じゃあ。と。英語を猛勉強したり。

あー。ここがドイツでなく。

英語圏だったらよかったのでは。と思い。

一転。オーストラリアへ引越したこともあった。

いや。あの時。

ドイツを離れないでドイツで踏ん張っていれば

じゃあウ~。ウウッ~。

と。またドイツへ勝手に戻ったり(バカ)。

 

『もし』はいつだって、強引に現実になった。

しかし。その

『もし。◯◯だったら、なのではないか』

の『なのではないか』の部分は。

いつだって現実にはならなかった。

結局、『もし』は起こらないのであるが。

変わることが一つだけある。

 

後悔が一つ片付くのだ。

あの時。やはり『もし』はなかったんだと

 

そして。今回のドイツも。

実は『後悔の実践』のために来た。

ではないか』の部分はやはり。

現実には起こっていないが。

また一つ、『もし』が片付いた。

 

しかし。人間というものは。

諦めも悪く、欲深いもので。

一つ『もし』が片付くと新たな『もし』が浮上する。

そう。ここに来て。

新たな『もし』が浮上してしまった!

 

田舎の街というのは家族生活が中心であり。

エンターテイメントが家族である。

やはり。

私みたいなよそ者の単身者には難しいのではないか。

プラス、言語障害児(ドイツ語能力: 低)だし。

もし(でたーっ!)。都会であれば生活ももっと

じゃあ。えーっ。都会へ引っ越し!?

 

ここから近い都会と言えば。

ハンブルグ、えっー。

で。リューベックへ新幹線通勤?

住まい東京(ハンブルグ)。

勤務地、小田原(リューベック)みたいな。

いやー。日本と違い、電車もよく遅れるし無理でしょ。

となると。東京に戻る!? えーっ?! 落ち着けー。

 

桃源郷はないとわかっているのに。

私の悩ましき学ばぬ日々は続く

 

でも。この後悔お片付け人生。

一つだけわかっていることがある。

今際の際に。

ジタバタしない自信だけはなんかある。

残っている後悔は。いつだって。

新たに浮上してくる一個だけだから

 

あ。それとも。その一個だけで。

最期。ジタバタするのかしらん?