あとがき
* * *
いやあ。ドイツで鍛える生活。
今読み返してもどれも思い入れがあり、
いつ読んでも我ながら泣け、笑える(←バカ)。
一体、何していたんでしょうねえ。わたくし…。
周りに沢山の人がいた東京から、
ポツンと、ドイツの片田舎でひとりの世界へ。
べつに。会社の人と遊べばいいじゃん。って?
あのねー。土日に会社の人と遊んだら。
休んだ気がせんでしょうがーーっ!
また月曜から毎日会うのよーーーっ。
あまりの快楽のなさに脳が食による快楽を求め、
最初の2ヶ月で5kg太った。最終的には8kg太った。
(これは日本に帰国してから完全に戻った)
パンに塗るつもりで買ったジャムもビンごとプリンのように食べ。
意識があるときは制御できたかと思っても。
ひどいときには睡眠時ににムックリ起きて。
寝ぼけながらジャムやチョコレートを食った。
本当に。脳がなんでもいいから快楽を求め、
砂糖という麻薬と満腹中枢を駆使し、
脳が精神状態をキープしていたと今は分析する。
で、そんなジャンキー状態でガンガンキーボードを打って生まれたのが
『ドイツで鍛える生活』だったのです。
しかーし。皮肉なことに。
精神状態が悪くなればなるほど。
ジャムがガンガン空になればなるほど。
出来上がる文章はどんどん面白くなっていった。
泣きながら書いた文章は、笑い転げるくらい面白いものに…。
ま。クリエイションというものは。
きっと。そういうものなのだろう。
満たされていないから創作できるわけで…
(作り話という意味じゃないですよ笑。念のため)
精神崩壊も間近なかんじになったとき。
あ~。もう私はこの辺りが限界かな。というわけで撤退したが。
もっと居たらもっとすごいものが書けたのか。
はたまた本当に壊れた人間になり、
あっちの世界へ行ってしまっていたのだろうか?
それとも、ある一線を超えたら。
一転、楽しくやっていたのだろうか。
オノ・ヨーコは
『好きになるまでその国を離れるな。好きになるまでいろ』と、
解いたという…。確かにそれは正論ではある。
すまん、オノ・ヨーコ。
ま。ともかく。成功どころか大失敗の私のドイツ生活。
しかし。この『鍛える生活』が。
私の価値観を大いに変えたことは否めない。
この修行生活(?)の前はどこかで盲目的に、
欧米は暮らしやすく、日本は暮らしにくい。って思っていて。
どこかで国のせいにしていた。
楽しく暮らせる人はどこでもできる。
場所ではないんだよね。
価値観は経験と共に変わる。
絶対…、と思っていたことも変わる。
今までの自分の『絶対こうだ』を崩すために人生はある。
極論を恐れずに言えば、価値観は崩すためにあり、
崩れたとき、そこに人の進歩があるわけです。
ってわけで。若者よ(ま。若者じゃなくてもよいですが笑)
行け~、海外へ。価値観を崩されてくるがよい。
世界は広いのだよ。
あ。でも。精神が崩壊しそうになったら引き下がりましょう。
(どん底まで行ってしまった日本人を昔、ベルリンで何人か見て来た…)
ま。こんなへんな海外サラリーマン生活する人、
あんまりいないとは思うが…
しかし、あの毎週のチームランチはなんだったんでしょうえねぇ…。
(参照:15巻:2.最期のチームランチ)
やっぱり。これは『行(ギョウ)』であった…。
マユマユゲ
p.s. 次回は、ドイツに負けて帰ってきたマユゲは帰国後どうなったか?のおまけのストーリーを。『事実は小説より奇なり』な不思議な結末を迎えます…。つづき『迷走記』